プロの陶芸家にインタビュー~陶芸家 須藤訓史さん【陶芸を語る】

インタビュー

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ドット(点)の組み合わせで、うつわの表情に様々な陰影美を醸し出す陶芸家

陶芸家・須藤訓史氏1

陶芸家・須藤訓史(すとう さとし)さんの作品の特徴は、うつわの表面を多種なドット(押点文)の組み合わせで飾ることで、同じ白でも見る角度で異なる白色を醸し出させる陰影美にある。

茨城県笠間市にある陶房を訪ねた。

陶芸家 須藤訓史5つのこだわり

  1. 十二単(じゅうにひとえ)のように衣をいくつも重ねたようにうつわを表現する
  2. 異なるドットの組み合わせが、うつわの表情に多彩な陰影を醸し出す
  3. 土の塊を完成イメージを想像しながら削り出す、成形というより彫刻する
  4. 乳白色の魔術師、作品の生地の白さはどこか温かみのある白さ
  5. 作風は変化するもの。枠にとらわれない作品を模索し続けたい

2018年11月3日笠間陶と暮らし 022-001

陶芸家になったきっかけは?

生まれは茨城県筑西市ですが、20代前半まで同じ地元の笠間焼を知りませんでした。高校卒業後、2年間コンピューター専門学校に通い、地元の会社に就職しました。

少しお金がたまったので専門学校での知識を活かそうと東京のコンピューター関連を扱う出版社に転職し、編集の仕事をしていました。

そのうちに単なる組織の歯車ではなく、自分で完結し、良くも悪くも自己責任が取れる仕事がしたいと思うようになりました。

その時頭に浮かんだのが陶芸の仕事です。自分の手で作り、ときには自分で販売までこなす仕事に魅力を感じました。

そこでどうしたら陶芸家になれるか調べ、地元茨城県の笠間に窯業指導所があり、プロの陶芸家を養成していることを知りました。

陶芸家の紹介がないと入学できないということでしたので、弟子を募集している陶芸家がいないか調べたところ、菊池弘さんが募集していることを知りました。

24歳の時でした。陶芸家・菊池弘先生に弟子入りし、下働きから始め丸2年間修行しました。

先生に紹介状を書いていただき、茨城県窯業指導所に入学、成形一科で1年間ろくろ成形を学びました。

足掛け3年間の修行ではまだ未熟なので、次に誰に付いたらよいか考え、陶芸家・伊藤東彦先生の門を叩きました。

そのころは自分の作風を作り上げるというよりは、まず作陶の基本技術、表現力を習得することに専念しました。

菊池先生からは陶芸の基礎知識と技術、伊藤先生からは表現力、作品の見せ方を学ぶことができました。

そのころ東日本伝統工芸展に出展し、入選することができました。入選をきっかけに、陶芸家として独立することを決心しました。

自分の作風が少しずつ固まり始めたのもその頃です。土の表面にドットを押す手法を工夫し、「輪刻文」(りんかくもん)と呼んでいました。

その後「押点文」(おうてんもん)の方が作風の特徴をうまく表現していると考え、押点文と呼ぶことにしました。ちなみに押点文は私の造語です。

2018年11月3日笠間陶と暮らし 044

うつわの表面が衣を重ねたように見えますね

僕はうつわを成形する際に二通りの手法を用いています。ひとつは土の塊からそのまま削り出すやり方です。もう一つはまずろくろで成形し、後で削り出すやり方です。

私は前者の土の塊から出来上がりをイメージして削り出す手法の方が、創作意欲をかき立てられます。

特に曲線を大胆にかつ面白く表現したい場合は、土のかたまりから作り出します。ほとんど彫刻に近い手法です。下書きなしに頭の中のイメージで削り出します。

ろくろ成形したものを削り出す場合はうつわの厚さの面で表現に限界がありますが、土の塊からだとどうにでも自在に対応できます。

狙う作品によって、それぞれ二つの手法を使い分けています。いずれの手法でも、まずうつわの外側を削り造形を決めてから、その後に内側を厚さを確認しながらくり抜いていきます。

うつわの表面を覆う押点文と同じように、この陶土の塊から削り出す成形手法は須藤さんの大きな特徴ですね….。

押点文では微妙に押す点のサイズを変えています。最初小さい点を押し、徐々に大きな点を押してゆきます。

おおむねひとつの面は同じサイズの点を押しますので、点の大きさの塊でうつわの表面の模様が大きく変わってきます。

押点文でも点(ドット)のパターンはいろんな種類があります。筆の頭、シャープペンの先、縫い針などを使い分けています。

模様が彫られた点も使っています。点のサイズを変えることで一つひとつのうつわの表面が様々な表情を見せ、より立体感が出るように工夫しています。

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うつわの生地は温かみを感じる白

同じ白でも磁器の白さとは違います。やわらかさや温かみを出すために土ものの白にこだわっています。成形後、半乾きのときにまずスポンジで白化粧を施します。

その後に点を押します。押すことで化粧土の白色に下の土肌の白色があらわれ、同じ白でも二つの白のグラデーションがはっきりするように工夫しています。

素焼きをした後に内がけし、外側は釉をコンプレッサーで吹き付けています。本焼きは酸化焼成です。

以前は還元焼成もやっていましたが、酸化の方がよりクリーム色に近い上品な白に仕上がるので、最近は酸化でやっています。

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新作では白以外の色にも挑戦

うつわの表面を引っ掻いて模様にしています。同じ化粧土でも中側と外側では違う土を使っています。土を塗り加え重ねる手法を新しく試みています。

素焼きを含めると完成まで4回焼いています。単に加色するのではなく、もとの土の持つ自然の色で表現したいと思います。

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