【趣味で始める陶芸入門】陶芸4つの基本~成型方法の特徴などを紹介

注目記事
この記事は約5分で読めます。

を始めよう」と思ったとき、どんな作り方をイメージしますか?

電動ろくろ?それとも、ひも状の土を手で積んでいく方法?

どちらも正解ですが、陶芸では大きく4つの成型方法があります。

  1. 手びねり
  2. ろくろ
  3. タタラ
  4. 鋳込み

基礎となるこの4つの手法を知り、好きな作り方を見つけたり、手法を組み合わせたりして幅広い作品を作ることができるんです。

では具体的にどんな作り方なのか、それぞれの手法の特徴やメリット・デメリットをご紹介します。

【趣味で始める陶芸入門】陶器の装飾技法は4つ~ その装飾方法を紹介
うつわにどんな柄や色を付けるかでうつわの印象は大きく変わります。装飾方法は次の4つ。うつわに絵を描く色絵、染付、鉄絵、金襴手。釉薬で飾る灰釉、鉄釉、辰砂、志野、織部。彫り、刻みを付ける粉引、搔き落し、象嵌、刷毛目。異なる陶土を合わせる化粧がけ、練り込みなどです。この手法をを組み合わせ幅広い作品を作ることができます。

手作り感を出すなら「手びねり」

土で平たくして底を作り、その上にひも状にした土を積み上げていく作り方を「手びねり」とか「ひもづくり」と言います。

ひとつの土の塊を指で押し伸ばしながら作る方法は「てづくね」「たまつくり」と呼ばれ、厳密に言えば異なる作り方です。

名前の通り、手でひねる(積み上げて厚み・形を整えていく)ので、手作り感のある作品ができます。表面にボコボコと手のあとが残るので、まさに一点もの。

手回しろくろと呼ばれる回転台だけで作ることができ、自宅で作りたい方や電動ろくろを上手く扱えない人でも始めやすいのがメリットです。

大きなものを作る場合や、複雑な形状を作る場合に向いている作り方ですが、厚みが出て重くなりやすいので注意が必要。

均一なものを作るのが難しいのもデメリットとも言えますが、不均一さが味となる作り方です。

【趣味で始める陶芸入門】日本の陶磁器の産地~六古窯+25ヶ所を紹介
日本には、六古窯(ろっこよう)と呼ばれる陶磁器の産地があり、中世(平安時代〜室町時代)に始まり現在もなお生産が続いている越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前の6つの産地を指します。古くから焼き物の町として栄え、その伝統が受け継がれている地域です。それ以外で伝統的工芸品に指定されている陶磁器の産地は25ヶ所あります。

薄くて使いやすい器を作るなら「ろくろ成形」

「ろくろ」という回転台の上に土を乗せ、回転する力を利用して作る方法を「ろくろ成型」や「水挽き」と呼びます。

一般的にイメージされる陶芸の作り方と言えば、ろくろ成型の姿かもしれませんね。

今は電気を使って自動で回転する「電動ろくろ」が主流ですが、その前は「蹴ろくろ」という足で蹴ってろくろを回転させるろくろが使われていました。(今でも好んで使っている作家さんはいます)

ろくろ成型の大きなメリットは

  • 均一な作品ができる
  • 早く大量に作ることができる

という点です。陶芸の窯元などで職人さんが作っている器は、大半がろくろ成型によるもの。

同じ形・サイズのものを作るためには訓練が必要で、土をろくろに乗せた後に行う「土殺し」も習得するまでには時間がかかります。

ろくろ成型のデメリットは、基本的に円状のものしか作れないということ。

成形後に手を加えて形を変えることはできますが、回転させて遠心力を使っているため、複雑な形のものや角柱などは作ることができません。

また、土殺しができないと土の中心がブレて均一な作品を作ることができないので、習得難易度は高いでしょう。

【趣味で始める陶芸入門】やきものの種類~ その違いと特徴を解説
やきもの種類は4つ。陶器、磁器、炻器(せっき)、土器です。①陶器は吸水性があり、温かみがある。美濃焼や瀬戸焼、益子焼、笠間焼、唐津焼が有名。②磁器は石から作られ、白くて硬い。有田焼、京焼、九谷焼が有名。③炻器は土をかたく焼き締めたもの。信楽焼、備前焼、丹波焼が有名。④土器は低温で焼かれたもろい焼き物。園芸用の鉢など。

大きなお皿も作りやすい「タタラ作り」

土を薄い板状にし、石膏型などに沿わせて成形することを、タタラ作りと言います。

タタラ板と呼ばれる細長い板を使って土の塊をスライスすれば、板状の土(=タタラ)を作ることができます。

ローラーなどを使って、クッキー生地を作るように薄く伸ばして作ってもOK。

そうして作ったタタラを円筒状のものに巻きつければコップを作ることができますし、タタラを少し乾燥させて硬くしてから組み合わせれば立方体も作ることができます。

食器などは、作りたい形の石膏型を作ってタタラを沿わせて作ることが多いです。

大きなお皿も、ろくろ成形だと難易度が高いのですが、タタラ作りだと比較的簡単に作ることができるのがメリット。

簡単とは言っても

  • 土を均一の厚さにスライスする
  • 焼き上げたときに歪まないよう丁寧に扱う
  • タタラ同士はしっかり接着する

といった点を気をつけないと、同じものを作るのが難しかったり、失敗してしまう原因になったりします。

【趣味で始める陶芸入門】陶芸体験~作りやすいオススメの形と作り方
初めて陶芸をするという方にオススメの形と作り方を紹介します。まず事前にそのお店のホームページなどで「どんなものが作れるのか?」と調べておくと安心です。とりあえず自分で何か作ってみたいという場合は、ご飯茶碗・湯のみ・小鉢のどれかを作ってみてください。電動ろくろも面白いですが、最初は手びねりを試してみるのがおすすめです。

同じものをたくさん作るなら「鋳込み」

タタラ作りでも石膏型を使いますが、もっと効率的に同じものを作るなら「鋳込み」という方法がオススメ。

土をドロドロの液体状にした泥漿(でいしょう)を、石膏型に流し込んで作る方法です。

主な作り方は2つ。

  1. 蓋のない石膏型に泥漿を流し入れ、一定時間後に流し出す
  2. 厚みぶんの隙間が空いた石膏型に泥漿を流し入れ、圧力をかけながら一定時間置いて流し出す

作りたいものの形状によって、どのような型を使うか考える必要があります。

同じ形のものを効率的に量産できるため、大手の窯元ではこの作り方が主流です。電動ろくろで作るよりも確実に同じ形・サイズのものを作ることができます。

ただし、石膏型を作ったり泥漿を準備するためには特別な材料や道具、設備が必要となりますので、まったくの初心者が取り掛かるにはハードルが高いと思います。

形が複雑になってくると石膏型を作るのも難しく、置いておく時間の設定にも知見が必要となります。

また、泥漿は基本的には磁器土で作りますので、「さまざまな種類の土を使いたい」「陶土の柔らかい感じが好み」という人には向かないでしょう。

【趣味で始める陶芸入門】陶器の工程~ 陶器ができるまでの流れを解説
普段目にする陶器は、すでに焼かれて完成した状態のものですが、完成するまでに様々な工程があります。土の性質上「急ぐのはNG」です。陶器ができあがるまでの工程をまとめると、土を練る、土を成形する、乾燥させる、高台を削る、乾燥させて素焼きする、絵付けをする、釉薬を掛ける、本焼きをするといった流れが一般的です。

成形のまとめ

一口に「陶芸」と言っても、さまざまな作り方があり、それらを組み合わせてオリジナリティのある作品を作ることができます。

ですが、基本的には

  1. 手びねり
  2. ろくろ成型
  3. タタラ作り
  4. 鋳込み

という4つの作り方が基本です。

作りたいものを実現するためにどの手法がいいのか、ぜひ参考にしてみてください。

これらを一通り習得すれば、自分好みの作り方も見つかると思いますよ!

文:ユキガオ