趣味で始めた陶芸も、その楽しさにハマり、色んなものが作れるようになっていくことでしょう。
「プロの陶芸家になりたい」
「陶芸で生計を立てたい」
そう思うようになる人も少なくないと思います。
ですが、身近に陶芸家がいたり陶芸を生業にしている知り合いがいたりしない限り、どんな働き方で収入を得られるのかわかりませんよね。
「陶芸家」という言葉の響きから、なんとなく縁遠いもののようにも感じられますし、誰もがなれるわけではない印象も受けます。
もちろん、簡単になれる職業ではありませんが、その仕事は多岐にわたり、さまざまなジャンルで活動することができるんです。
そこで今回は、陶芸家の働き方やジャンルを4つご紹介します。
自分に合った働き方を見つけてみてくださいね。
職人として窯元で働く
焼き物の産地には、「窯元」といって、陶器を作る会社がいくつか存在します。
最盛期よりは数が減っていますし、規模も縮小されていますが、伝統工芸を伝承しながら陶器の生産を行なっています。
そのような窯元で働く人のことを一般的に「職人」と呼びます。
多くの窯元では、ろくろ職人・絵付け職人・型職人…などと分業制になっているので、職人としては特定の工程だけ担当することになります。
雇用体系は正社員や契約社員などさまざまで、個人の作家活動と兼業している職人さんも。
窯元では、卸業者や問屋などから注文を受けて商品を制作することになるため、注文の多い時期には残業も多くなります。
そのぶん、注文が少ない時期もありますので収入は時期によって変わってくるでしょう。
同じものを大量に作るスキルは職人ならではなので、ひとつのことを極めたい人にはオススメです。
クラフト作家として個人で働く
最近は全国で「手づくり市」や「やきもの祭り」がとても人気です。
出品されているのは主に日常使いの食器。それらを作って出品しているのがクラフト作家です。
クラフトというのは工芸品や民芸品のことを指し、アート作品と区別するために使われます。
誰もが手を出しやすい価格帯で、使いやすい食器や花器を作っていることが多く、ひとつの作品で多くの収入を得るというよりは、たくさん作ってたくさん売るスタイル。
ただし価格は自分で決めることができるので、作家さんによって価格帯はさまざまです。
個人事業主として活動している人が多く、ひとりでデザインから販売まですべてを行うこととなります。
販売方法としては、手づくり市などに出店したり、食器を扱っているお店から注文を受けたり、個人でネットショップを運営したりと、いろんな方法をとることができます。
自分の裁量でものづくりをしたり販売をしたりしたい、という人に向いている働き方です。
アーティストとして個人で働く
陶芸家と聞いて思い浮かびやすいのは、主にアーティストとして仕事をしている人ではないでしょうか。
美術館やギャラリーで個展を開き、オブジェや大きな器を展示している作家さんは、アーティストという分類になります。
アート作品の中には、一点で意味をなしているものもあれば、インスタレーションという空間全体を使って表現する作品もあり、作品の幅はさまざまです。
個人で活動している人が多いのですが、アート集団のようなグループに所属して活動する場合もあります。
個展やグループ展を開催したり、声が掛かれば百貨店で展示を行うことも。
作品価格はクラフトに比べてかなり高価になり、数万円から数百万円まで幅広いのも特徴です。
もちろんアーティスト活動のほかにクラフト作品を作っている陶芸家さんもいます。
表現したいものがある場合や、大きなオブジェなどを作りたい場合は、アーティストという働き方を考えてみてください。
先生として学校/陶芸教室で働く
陶芸を学べる大学や専門学校で、知識や技術を教える先生になるという働き方もあります。
定期的に授業がある場合は、毎月の収入が安定するというメリットがあります。
ただし大学講師などになると、もともと職人をしていた人や個人の陶芸家として実績がないと採用してもらうのは難しいかもしれません。
陶芸教室の先生であれば、スキルをチェックして問題なければ採用してもらえることも。陶芸教室の場合は、コミュニケーション能力も必要となります。
自分で陶芸教室を開くこともできますので、大きな実績がなくても集客さえできれば活動可能。
いずれにしても、教える仕事だけというよりは、個人の活動と組み合わせている人が多い印象です。
プロの陶芸家のまとめ
陶芸家と一口に言っても
- 職人
- クラフト作家
- アーティスト
- 先生
と、さまざまな働き方ができます。
もちろんどれかひとつに絞らなくてもいいので、いくつかの仕事を掛け持ちしている陶芸家さんは多いです。
働き方によって、身につくスキルや自分の作品づくりに使える時間も変わってきます。
まずはどのような作品を作りたいのか、陶芸とどんな風に向き合いたいのか、といったことを考えてみてください。
そこから、自分に合った働き方を見つけるといいと思いますよ。
文:ユキガオ