陶芸にかける彼のスピード感がすごい
「面白い!と思えることに常にアンテナを立て、迷うことなくすぐ実行」が、彼のモットー。失敗を恐れずにチャレンジし続ける彼のスピード感は、誰も追い付けない。
作風を固定せず変化し続けている彼だが、「一瞬の美をかけ流しで表現したい」「朝鮮唐津のように、釉薬が混ざり合うのが面白い」といっているが、いまはそこに美の関心があるようだ。
尊敬する陶芸家は?
目標とする陶芸家はいません。陶芸家の新しいスタイルを開拓したいという思いです。
好きな作風としては民芸運動で知られた人間国宝、濱田庄司さんの一瞬の美を表現したかけ流しが好きです。
もう一人あげれば、中里花子さんです。型に縛られない自由な作風も好きですし、海外にも拠点を持ち作陶している姿に憧れます。
1歩を踏み出せない若者に
サラリーマン時代はなかなか人に喜んでもらう機会はなかったが、陶芸家には喜んで買ってくれるひとがいる。使ってもらえることがとてもうれしい。
私はひとに寄り添える陶芸家になりたい。何かしようと踏み出す際に、背中を押す役目ができればありがたい。
ラグビーでは相手のディフェンスのどこに突破口があるか瞬時の判断が求められるが、山田さんはその感覚と経験を今の仕事にも活かしている。
コラボという陶芸家にとって新しい手法は、山田さんだからできる試みだ。まさにいばらの道だ。
ふつうの陶芸家はやらないし、そこまでのエネルギーやバイタリティーを持ち合わせていない。
アスリート陶芸家 山田翔太 (Shota Yamada)プロフィール
1988年千葉県生まれ
高校1年生の時に陶芸を始める。現在、東京都内の共同工房にて作陶。
10年間のラグビー経験をいかし、現在はトライアスロン選手として大会に出場。会社員として働きながら、うつわにアスリートの美意識を取り入れた ”Athlete Ceramist”として東京とフランスを拠点に活動中。
作品
ライターコラム
話していて、実にさわやかな方である。見た通りのハンサムガイではあるが、チャラチャラしたところが微塵もない。
陶芸家としての新しいジャンルを開拓する姿勢、考え方、ビジョン、目標がしっかりしていて、ブレがない。
会社員であり陶芸家という二刀流をハンデとせず、逆に長所として活かしている。
「身銭を切ってでもコラボしたい」と彼は言うが、実際にフランスでの個展も含め、すべて自費でやっている。専業の陶芸家ではできないことだ。
私がサラリーマンだったころでは想像もできない山田さんの生き方だが、働き方改革が叫ばれる中、彼の生き方は良い見本になるのではないか。
問題はまわりが彼を理解し、追い付いて行けるかだ。今後の彼の活動を追いたい。